日常生活の様々な場面で重要な役割を持つ「握力」
瓶を開封するときや、たくさんの手荷物を持つときなど、男らしさを発揮する場面で使うことが多いため、握力は男らしさの象徴とも言える力です。
特にスポーツにおいては、野球、テニス、剣道などのスイングスピードが求められる「道具を使う競技」はもちろん、ボクシングや柔道などの「道具を使わない競技」でも、重要な役割を果たします。
今回は、そんな握力の鍛え方を紹介します。ウェイトトレーニングをしている人でも、鍛えるのを疎かにしがちな握力を鍛え、ライバルに差をつけましょう。
握力の種類
握力を測定する時は、下写真のような握力計を使用すると思います。会社や学校で実施される健康診断、身体測定でも多く採用されているため、ほとんどの人がチャレンジしたことあるでしょう。
しかし実は、握力計で測ることができる握力は、三つのうちの一つだけ。
実は、握力にはいくつかの種類があるのです。
クラッシュ
握力計で計測できる、最もポピュラーな握力です。瞬間的に「握り込む力」のことを言います。文部科学省が公開しているデータでは、日本人の成人男性の平均が約47kg、成人女性の平均が28kgといわれています。
ちなみに、手でリンゴを握り潰すパフォーマンスは、70kg以上の握力があればすることができます。ギネス記録認定されている世界一の握力は、スウェーデン人俳優のMagnus Samuelsson(マグナス・サミュエルソン)さんの192kgという記録です。
また、動物界で一番握力が強いと言われているゴリラは、200kg近くある自重を、2本の指で支えることができるため、推定500kgの握力があると言われています。
ピンチ
手のひらに触れないで物を持つ「つまむ力」です。 ジョーカーを含む53枚の重ねたトランプをちぎる「トランプ千切り」や、伝説の空手家、大山倍達が行ったとされる「コイン曲げ」のパフォーマンスで使用される力です。
この力を計測する器具として、ピンチ力計というものがあります。しかし、クラッシュ力を測る握力計と比べると非常にマイナーで、フィットネス器具よりも、医療器具として使われることが多いです。
ホールド
モノを握ったまま、それを「保持する力」です。買い物袋を持ち歩いているとき、手が痛くなって持ち手を替えた経験が誰しもあるでしょう。その時に限界が来ているのがホールド力です。
ちなみに、握力において”crush”と”pinch”は正確な英語ですが、”hold”は和製英語です。海外では、”support grip”と呼ぶのが一般的です。
握力の鍛え方
クラッシュ
クラッシュで主に使われるのは、親指を除く手指の屈曲に関与する、前腕筋群の中でも最大の筋肉「浅指屈筋」と「深指屈筋」です。
前腕のトレーニングとしては、リストカールとリバースカールが有名ですが、リストカールで主に鍛えられるのは手首の屈曲に関与する手根筋、リバースカールで主に鍛えられるのは肘関節の屈曲に関与する腕橈骨筋ですので、ピンポイントで浅指屈筋と深指屈を鍛えることはできません。
また、クラッシュ力は、手が開いた状態から中間まで閉じる力「初動」と、中間から最後まで閉じる力「ファイナル」に分けることができます。それぞれ微妙に使う筋肉が異なるため、別々に鍛えるのが理想的です。
最も効果的なのは、ハンドグリッパーを使用したトレーニングです。ハンドクリッパーは、10kg,20kg,30kg,40kgと、負荷レベルごとに分類されており、ショッピングセンターなどのスポーツコーナーで千円前後で売られています。
初動のトレーニング
最も効果的なのは、ネガティブトレーニングです。ネガティブトレーニングは、筋繊維を引き延ばしながら行うトレーニングのことを指します。ベンチプレスで言うところの、挙げる動作ではなく、下げる動作に重点を置くトレーニングです。
ネガティブトレーニングは、ポジティブトレーニングよりも重い重量、負荷を扱うことができるため、より速筋繊維を鍛えることができると言われています。
ハンドクリッパーを使用したネガティブトレーニングでは、自分が閉じることができない、又はギリギリ閉じることができる強度のグリッパーを使用します。最初に閉じる時は、両手で閉じても構いません。
グリッパーが開こうとする力を抑え込み、限界までキープします。非常に負荷の強いトレーニングなので、怪我をしないよう、やり過ぎには要注意です。
おすすめのグリッパーは、下の記事で紹介しています。
握力を鍛えるための、おすすめのハンドグリッパーと、損しない選び方を紹介しています。本格的な握力トレーニングに使えるグリッパーから、1,000円以下で買える格安品まで、ハンドグリッパーのすべてを紹介します。
kintoregoods.net
ファイナルのトレーニング
初動のトレーニングとは異なり、5,6回連続で閉じることができる強度のグリッパーを使用します。
ファイナルの力を鍛えるためには、オーバークラッシュというトレーニングが効果的です。オーバークラッシュとは、その名の通り、ハンドグリッパーをクラッシュ(閉じた)後に、さらに深く握り込むトレーニングです。
深く握ることができるほど、トレーニング効果が上がるため、金属製のグリッパーの場合はヤスリで削ったり、ゴム製の場合はナイフで切ったりすることで、グリップ部分を細くするのも効果的です。
また、テニスボールを限界まで握り続けることや、「パワーボール」という筋トレグッズでのトレーニングもでも鍛えることができます。
ピンチ
ピンチで主に使用されるのは、「母指内転筋」と「長母指屈筋」です。これらの筋肉は深層にあるため、ハンドグリッパーを使用したクラッシャー系のトレーニングでは、なかなか効率よく鍛えることができません。
ピンチ力アップに一番適しているのは、ハンドグリッパーと並んで2大握力トレーニンググッズとも呼ばれる「ピンチブロック」という器具を使ったトレーニングです。
使い方は、リングの付いている部分を下にして、鍛えたい指でブロックを握るだけです。リングにフックを取り付け、別売りのプレートフォルダーを?げれば、プレートで自由に重量を調節することができます。
ホールド
ホールド力を司る筋肉は、クラッシュ力と同じ「屈筋浅指屈筋」と「深指屈筋」です。しかし、瞬間的な力であるクラッシュ力に対し、ホールド力は筋持久力であるため、効果的なトレーニングのやり方も違います。
おすすめは、鉄棒やチンニングスタンドなどに、ぶら下がるトレーニングです。親指をしっかりと握り込み、限界までぶら下がることで鍛えることができます。
また、ウェイトトレーニングを習慣的に行っている方は、ダンベルやバーベルのシャフトを、通常の28mmよりも太いシャフトに変更することで、自然とホールド力を鍛えることができます。
耐荷重付き!自宅用チンニング&ディップスタンドおすすめランキング
おすすめの自宅用チンニング&ディップスタンドを耐荷重付きで紹介しています。格安のスタンドから、耐荷重150kgの頑丈な作りのものまで、幅広い商品をランキングで紹介しています。
kintoregoods.net
まとめ
以上が握力の鍛え方と使用する筋肉です。
今まで握力トレーニングを行っていなかった成人男性が、ここで紹介した握力に特化したトレーニングを行えば、だいたいの人は3ヶ月もしないうちに、平均を超える50kgの握力を手に入れることができるはずです。
握力は日常生活で、使用頻度が非常に多いパワーです。しっかりと鍛えて、力強い前腕を手に入れましょう。