日本人は筋肉がつきにくい遺伝子、黒人は筋肉がつきやすい遺伝子とよくいわれます。
もちろん、筋トレをする日本人と筋トレをしない黒人であれば、日本人の方が筋肉がつくでしょう。
しかし、もしも全く同じトレーニング、全く同じ栄養摂取をしたとしたら。
おそらく、多くの日本人が、遺伝子の差で黒人よりも筋肉がつきません。
筋繊維の平均本数が、黒人の方が多いからです。(筋繊維の太さや強さはトレーニングで変わるが、本数は変わらない)
スポーツ遺伝子の差は、日本人同士にもあります。
ライバルより努力しているのに、なぜか相手に勝てない人は、自分の体質に合っていないトレーニングをしているのかもしれません。
その場合、スポーツ遺伝子に合ったトレーニングを行うことで、結果が変わる可能性があります。
2001年、遺伝子検査を行うには、9530万ドル(約95億3000万円)という莫大な費用と、数か月の通院が必要でした。
しかし、急速に科学が進歩した今、数千円で、しかも自宅で遺伝子検査できるようになりました。
そこで今回は、私の娘が行ったスポーツ遺伝子検査のやり方と結果を紹介します。
筋肉がつかないと悩んでいる人だけでなく、子どものスポーツの向き不向きを知りたい人、ポジション選びに迷っている人も、ぜひ見てください。
今後のトレーニング内容や、目指すべき道を見直すきっかけになるかもしれません。
スポーツ遺伝子検査キットについて
ハーセリーズ(Herseries)
スポーツ遺伝子検査 DNA EXERCISE
基本情報
販売会社:ハーセリーズ(Herseries)
解析機関:イービーエス株式会社
検査方法:口腔粘膜
検査日数:約2週間
検査項目:筋肉、血管、ミトコンドリア
定価:7,560円
ハーセリーズ遺伝子キットの特徴
最先端のDNA解析システム
検査には、オックスフォード大学、東京大学の研究機関でも導入されている、Agena Bioscience社の「MassARRAY System」が使用されています。従来のDNA解析よりも、手作業が大幅に削減されているため、高精度、高感度測定の解析システムです。
衛生検査所登録のDNA解析機関
販売はハーセリーズですが、解析は親会社のイービーエス株式会社が運営するEBSセルフメディケーションリサーチラボで行われています。EBSのラボは広島市からの衛生検査所登録、ISO、GPIGIの認定を受けている、信頼性の高い機関です。検査キットは、広島赤十字・原爆病院でも使用されています。
スポーツ遺伝子に特化した検査項目
他社の遺伝子検査キットとの違いは、検査項目をスポーツ遺伝子に特化した3項目に絞っている点です。そのおかげで、日本におけるスポーツ遺伝子検査キットの相場価格である2~5万円の半額以下で検査できます。他社の遺伝子検査では、将来的な病気のかかりやすさなど、有益な情報も含まれていますが、スポーツ遺伝子をピンポイントで調べたい場合は、ハーセリーズがおすすめです。
スポーツ遺伝子検査の内容
ハーセリーズスポーツ遺伝子検査で調べることができるのは、次の3項目です。
ACTN3遺伝子
筋肉の遺伝子
スポーツ遺伝子の中で、最も代表的なのが、このACTN3です。
α-アクチニン3と呼ばれるこの遺伝子は速筋にのみ存在するため、この遺伝子量で速筋と遅筋のおおよその割合が分かります。
速筋が多いほど筋力アップと筋肥大を起こしやすく、遅筋が多いほど乳酸を蓄積させにくいため、持久力を要する運動に適しています。
そのため、筋肉がつきやすいのが速筋、つきにくいのが遅筋とも呼ばれます。
それぞれを表にすると次のようになります。
タイプ | 速筋と遅筋 | 日本人の割合 |
R/R型(Type2b) | 速筋が多い | 約19% |
R/X型(Type2a) | 標準 | 約54% |
X/X型(Type1) | 遅筋が多い | 約27% |
X/X型は、欧米人では約10%、アフリカ系の黒人では約0.3%しかいないため、日本人が外国人に比べて筋肉がつきにくい要因の一つとなっています。
また、X/X型のアスリートで、100m走を10秒5以内で走った選手は、未だいないそうです。
X/X型が短距離アスリートを目指す場合、かなり険しい道であると覚悟する必要があります。
反対に、R/R型が長距離アスリートを目指すことは十分可能です。
R/R型は唯一、トレーニングによりR/X型へ変性することができるからです。
実際に、高速化が進む現代のマラソンレースにおいて、R/R型のランナーは多くいます。
R/X型は、どちらも目指すことができる、万能型といえるでしょう。
ACE遺伝子
血管を収縮させる物質を作り出すACEタンパク質の遺伝子です。
ACE遺伝子の活性が低いほど、血管の拡張能が高いため、筋肉への栄養や酸素の供給に優れ、乳酸などの疲労物質の抜けやすくなります。
それぞれを表にすると次のようになります。
タイプ | 血管の拡張と収縮 | 日本人の割合 |
I/I型 | 血管拡張能が高い | 約40% |
I/D型 | 血管拡張能が標準 | 約49% |
D/D型 | 血管収縮能が高い | 約11% |
D/D型<I/D型<I/I型の順で運動時の血管拡張作用が強まります。
つまり、D/D型が最も疲労を感じやすく、I/I型が最も疲労を感じにくい体質です。
無酸素登山で8,000m級を登頂した登山家15人の中に、D/D型はいなかったという報告もあります。
しかし、拡張機能が低い分、D/D型は収縮機能に優れています。
血管の収縮能が高いと、瞬間的な力を発揮しやすくなります。
NSCAジャパンと日本体育大学が行った調査では、トップレベルの日本人レスリング選手には、DD型が多かったという報告もあります。
PPARGC1A遺伝子
筋肉内におけるミトコンドリアの生合成と、その機能の調整を果たしているPGC-1αタンパク質の遺伝子です。
PGC-1αの活性が高いほど、ミトコンドリアの増殖量が増加します。
ミトコンドリアは、酸素を使用して身体を動かすエネルギーを産生するため、単純に量が多ければ、持久力が高くなります。
それぞれを表にすると次のようになります。
タイプ | ミトコンドリアの増殖量 | 日本人の割合 |
G/G型 | 高い | 27% |
G/S型 | 標準 | 50% |
S/S型 | 低い | 23% |
ACTN3遺伝子、ACE遺伝子では、対局の型にそれぞれメリットがありました。
しかし、PPARGC1A遺伝子には、S/S型<G/S型<G/G型という序列があります。
S/S型が最も運動効率が悪く、G/G型が最も運動効率が良いです。
とはいえ、S/S型であっても活躍しているアスリートはたくさんいます。
努力で覆せないレベルのハンデではないので、S/S型であっても、トレーニング次第でG/G型を上回る結果を出すことも可能です。
低中強度の運動をすることで、着実にミトコンドリアを増殖させましょう。
スポーツ遺伝子検査の方法
申し込み
ハーセリーズの公式サイトからスポーツ遺伝子検査キットを申し込みます。
http://www.herseries.co.jp/wrk/exercise/
検査キットが到着
▼文庫本よりも少し小さいブルーの箱です。
▼箱裏面はこんな感じ。
▼中身は、説明書・同意書・お名前シール・綿棒・返信用封筒・袋(ぷちぷち)の全6点
口腔内粘膜の摂取
▼使用するのはこの綿棒。2016年に綿棒が長くリニューアルしました。
▼キャップを外すとこんな感じ。
▼綿棒でほっぺたの内側を左右30秒づつ擦ります。痛みは全くありません。
同意書に記入
▼同意書に必要事項を記入します。18歳未満の場合は、親権者の署名が必要です。
返信用封筒で郵送
▼綿棒を袋(ぷちぷち)で包んで、同意書と一緒に郵送します。
以上で終了です。全体で15分もかからないでしょう。
スポーツ遺伝子検査の結果
検査結果が到着
▼検査結果は簡易書留です。郵送してから2週間ちょうどで届きました。
▼封筒の中には中身はファイルが入っています。
▼ファイルの中身は計10枚です。検査結果と、大阪大学大学院 勝谷友宏 特任准教授監修の、運動に関するアドバイスが入っています。
▼結果はこんな感じでした。
ACTN3はR/X型、ACEはD/D型、PPARG1AはG/S型でした。
娘は将来プロダンサーを目指しているため、理想は2-2-2型の標準でしたが、ひとまず1個違いということで、安心しました。
D/D型は持久力が劣る代わりに、瞬発力に長けているという特徴があります。
娘に伝えたところ、スタミナはないけどジャンプ力は人一倍あるという自覚がすでにあったようで、「やっぱり」という反応でした。
今後は、個性を活かしたメリハリのあるダンスと、ウィークポイントであるスタミナを強化していく方向で、トレーニングを進めていこうと思います。
遺伝子検査シリーズ一覧
ハーセリーズ・インターナショナルでは、スポーツ遺伝子検査だけでなく、ほかにも様々な遺伝子検査をしています。
どれも相場価格よりも相当に安いため、遺伝子検査に興味がある方は、参考にしてください。