BCAAを含む8~9種類の必須アミノ酸が含有されているEAA。
筋肉の合成促進に高い効果が認められており、ボディビルダーにも愛用者が多いサプリです。
そんなEAAですが、「EAAはBCAAの上位互換」「EAAで筋肉の合成が約751%高まる」など、間違った情報が広まっています。
そこで今回は、EAAの本当の効果について、信頼できる学術誌に掲載された論文から紹介します。
間違いやすいBCAA、HMBとの違いについても解説するので、EAAの正しい効果について知りたい方は、参考にしてください。
EAAとは
ヒトの必須アミノ酸
EAAは”Essenntial Amino Acids”の略称です。
日本語に直訳すると「必須アミノ酸」という意味になります。
アミノ酸には、体内で十分な量を合成できず、食事から摂取する必要がある9種類の「必須アミノ酸」と、体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」の計20種類あります。
体内で合成できるかがポイントなので、実は動物によって必須アミノ酸は違います。
例えば、ヒトの非必須アミノ酸であるアルギニンを、ネコやイヌは体内で合成できません。
そのため、ネコやイヌにとってアルギニンは、必須アミノ酸になります。
つまり、本記事で説明するEAAは、正確にいうと「ヒトの必須アミノ酸」です。
EAAサプリは8種類が主流
ヒトの必須アミノ酸は次の9種類です。
・ロイシン
・イソロイシン
・バリン
・リジン
・フェニルアラニン
・トレオニン(スレオニン)
・ヒスチジン
・メチオニン
・トリプトファン
しかし、サプリメーカーのEAAサプリの多くには、トリプトファンが配合されていません。
これには二つの理由が考えられます。
トリプトファン事件
一つ目は、トリプトファン事件の影響です。
1989年頃にアメリカで発生し、少なくとも38名以上の死者が出た事件です。
当時、日本のトリプトファン製造会社による不純物の混入が問題になり、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、トリプトファンの販売を全面的に規制しました。
しかし現在は、不純物の混入ではなく、使用者の大量摂取が原因だったというのが、日本トリプトファン研究会も認める定説です。
実際に、2001年にはFDAの規制も解除されています。
しかし、一度ついたマイナスイメージは払拭しきれておらず、未だにトリプトファンへの不信感を持つ人は少なくありません。
そのため、使用者への影響を考慮して、各メーカーが控えていると推察できます。
セロトニンの作用
二つ目は、トリプトファンの代謝物であるセロトニンの作用です。
セロトニンは「幸せホルモン」の愛称を持つ、脳内神経伝達物質です。
精神の安定に大きな影響を持ち、セロトニンの欠乏がうつ病を引き起こすといわれています。
しかし、リラックス時は有益なセロトニンですが、精神的な疲労「中枢性疲労」を発生させ、筋トレ時のパフォーマンスを低下させる恐れがあります。
サプリメーカー「バルクスポーツ」では、セロトニンの影響を考慮し、あえてEAAサプリにトリプトファンを配合していないようです。
EAAの効果
筋肉の合成促進効果
EAAによる筋肉の合成促進効果については、Blake Rasmussen 教授(テキサス大学医学部)の指導の下で実施された実験が最も有名です。
論文は、米国生理学誌「Journal of Applied Physiology」に掲載されています。
実験は、6人の被験者(男性3人、女性3人)に筋トレをしてもらい、EAA6gとスクロース35gを含有した飲料と、味付きプラセボ飲料を摂取した時の比較で行われました。
その結果、EAA6gとスクロース35gを摂取した時、筋タンパクの合成が約400%高まりました。
また、同グループが実施した別の実験では、筋トレ後ではなく、筋トレ前にEAA・スクロース含有飲料を摂取した方が、筋タンパクの合成が約351%高まったという結果もあります。
このことから、EAAには筋肉の合成を促進する、高い効果があることが想定されます。
ただし、この実験ではEAAだけではなく、スクロースも同時に摂取している点に注意しましょう。
一部のサイトでは、この実験結果を部分引用し、EAAにより筋肉の合成が400%高まると書いていますが、これは正確ではありません。
さらに、間違っているサイトでは、前述の約400%の増加と約351%の増加を単純に足し算して、EAAにより筋肉の合成が751%高まると書いています。
EAAの摂取で筋肉の合成が7倍以上になるのならば、アナボリックステロイド(筋肉増強剤)に手を出すアスリートはいなくなるでしょう。
実験結果は「physiology.org」というサイトで全文読むことができます。
An oral EAA supplement enhances muscle protein anabolism
筋肉の分解抑制効果
EAAには、筋肉の分解を抑制する効果もあります。
ただし、この効果が明確なのは、9種の必須アミノ酸のうちロイシンだけです。
他8種の必須アミノ酸には、現在のところ筋肉の分解抑制効果は認められていません。
そのため、ロイシンの配合割合が少ないEAAサプリは、筋肉の分解抑制効果が低くなります。
EAAとBCAAの違い
EAAとBCAAの違いは、上記図のとおりです。
これだけを見ると、確かにBCAAよりもEAAの方が優秀にも思えます。
しかし、EAAサプリ6gとBCAAサプリ6gでは、配合成分量が全く違います。
例えば、バルクスポーツの販売しているEAAパウダーとBCAAパウダーだと下記のとおりです。
EAAの推奨摂取量が6g、BCAAの推奨摂取量が5gなので、最小公倍数の30gで比較しています。
必須アミノ酸 | EAA(30g) | BCAA(30g) |
ロイシン | 5,700mg | 15,000mg |
イソロイシン | 3,000mg | 7,500mg |
バリン | 3,450mg | 7,500mg |
リジン | 4,650mg | 0mg |
フェニルアラニン | 4,650mg | 0mg |
トレオニン(スレオニン) | 4,400mg | 0mg |
ヒスチジン | 3,250mg | 0mg |
メチオニン | 900mg | 0mg |
当然ですが、ロイシン、イソロイシン、バリンに関しては、BCAAの方が高配合されています。
もちろん、EAAの摂取量を増やせば、BCAAの上位互換になることも可能です。
実際に、ボディビルダーの山本義徳 氏が著書の中で、EAAを15g摂取すればBCAAの効果を包括できると説明しています。
しかし、15gという量は一般の推奨量の2.5倍に当たります。
一般のトレーニーがEAAを15g摂取するのはおすすめできません。
また、EAAサプリの多くは、BCAAとは違いアミノ酸が最小単位まで分解されているフリーフォームではありません。
そのため、体内への吸収速度がBCAAよりも遅いというデメリットもあります。
EAAを飲んでいればBCAAは必要ない、という考え方は正確ではありません。
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>>BCAAの効果と飲むタイミング
EAAとHMBの違い
EAAとHMBの違いは上記図のとおりです。
HMBはロイシンの代謝物なので、親会社と孫会社のような関係と考えれば理解しやすいでしょうか。
ロイシンから代謝されるHMBは約5%といわれています。
先の例で挙げたバルクスポーツのEAAパウダーの推奨摂取量6gには、1,140mgのロイシンが含まれているので、摂取できるHMB量はわずか約57mgです。
一般的なHMBの推奨摂取量は1,500mg~3,000mgなので、これでは全く足りません。
HMBをEAAで代用することは、無理でしょう。
関連記事
>>HMBの効果と副作用
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MYPROTEIN(マイプロテイン)EAA
基本情報
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BULKSPORTS(バルクスポーツ)EAAタブ
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推奨摂取数:12粒
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